どうも、「学校は行かなきゃいけないの??」というTwitterアカウントで不登校問題を中心に発信活動をしているラオスのジーコ(@laolaos_koji)です。
令和元年10月25日に文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」が出されました。
今回の記事では、この文科省の新通知の内容を三年前の通知と比較すると共に、新通知に対する考えについてアンケートを取ったのでまとめました。
文科省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年の概要
今回の新通知は3年前の平成28年9月14日に出された「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の修正版と言えるでしょう。
新通知に書かれている内容は3年前の通知とあまり大きな変化はなく、【1不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方】に関しても同じ内容でした⇩
「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある……
新しく加えられた項目
あまり大きな変化はなかったものの、今回の通知で新しく加えられた項目として以下の3つがありました。
①【不登校児童生徒の学習状況の把握と学習の評価の工夫】
不登校児童生徒が教育支援センターや民間施設等の学校外の施設において指導を受けている場合には,当該児童生徒が在籍する学校がその学習の状況等について把握することは,学習支援や進路指導を行う上で重要であること。学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には,当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり,また,評価の結果を通知表その他の方法により,児童生徒や保護者,当該施設に積極的に伝えたりすることは,児童生徒の学習意欲に応え,自立を支援する上で意義が大きいこと。
②【改めて中学校等で学び直すことを希望する者への支援】
不登校等によって実質的に義務教育を十分に受けられないまま中学校等を卒業した者のうち,改めて中学校等で学び直すことを希望する者については,「義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について」(平成27年7月30日付け文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長通知)に基づき,一定の要件の下,夜間中学での受入れを可能とすることが適当であることから,夜間中学が設置されている地域においては,卒業時に夜間中学の意義や入学要件等について生徒及び保護者に説明しておくことが考えられること。
③【民間施設との連携協力のための情報収集・提供等】
不登校児童生徒への支援については,民間施設やNPO等においても様々な取組がなされており,学校,教育支援センター等の公的機関は,民間施設等の取組の自主性や成果を踏まえつつ,より積極的な連携を図っていくことが望ましいこと。そのために,教育委員会においては,日頃から積極的に情報交換や連携に努めること。
特に①、③が新しく加えられたことから、学校外の多様な学び場との連携をより充実していきたいと文科省が考えていることが分かります。また、学校外での学び場での出席扱いを促進していく姿勢が伺えます。
また、今回の新通知をもって過去の「不登校を生徒の問題行動」と扱っていた通知などはすべて排除されることになったので、不登校理解の側面では今回の通知で一歩前進したのではないかと思います。
新通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」どう思うかアンケート
今回の新通知をどう思うかについて「学校は行かなきゃいけないの??」のアカウントを使って以下のようなアンケートを取ってみました。
【急募】
先日、文科省が出したばかりの「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日https://t.co/9QpOyxrZ5n
を読んだ感想(良いと思ったところ・もう少しと思ったところなど)を教えてください。リプ欄に回答を宜しくお願いします。#RT希望
— 先生、学校は行かなきゃいけないの?? (@namonakigakkou) October 26, 2019
すると、多くのコメントを頂いたのいくつかピックアップしてご紹介いたします。
新通知についてどう思うか?コメントまとめ
「学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には,当該学習の評価を行う」点について、例えば小学生が中1の内容を学習していた場合、それは評価されないのかな、と気になりました。
さらに言えば、評価されたくない子どももきっといることでしょうし…
— similarl (@similarl8) October 28, 2019
>「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある
これは画期的。しかしこの概念を学校で適応できるのかは疑問です。学校は全てを背負うというのが前提となっており、「登校」が目標となりやすいからです
— ヤスノリモリ(教員) (@yasunorimoori) October 28, 2019
→不登校を正当化して文科省としての責任を放棄しようとしてないか…?と思います。
— ねこ嫁 (@abgiysgtsns_d) October 26, 2019
不登校の認識については少し前進が見られる。
しかしながら、これを実現させる人的・予算的政策などを合わせて手当てしなければ現場の先生ばかりが大変なだけで全く意味を成さないと感じる。
教育制度自体を変えていく覚悟を持った、実効性のある、ヒトモノカネとセット内容を求む。
— えるにー (@elNino8889) October 28, 2019
教員不足や学校のブラック企業化の問題がある中、ここに書いてあるような対応をするのは、現実的ではないと思います教員の忙しさを知っているとは思えない内容です。教員の仕事を増やすのではなく、不登校に対応してくれる職員を別途常勤させて欲しいです。週一回ではなく常勤、そして正規の職員です。
— いがらしまやこ (@mayakoigarashi) October 27, 2019
「学校復帰を第一にしないこと」は、大賛成です。
「社会的自立」のための、フリースクールやオルタナティブスクールへの公的な支援(特に財政面)、「魅力的な学校づくり」のための学習内容の精選や学校現場の人材確保など、具体的な変革を切望します!
でなければ、文書だけで終わってしまいます…— ユナカ (@3set_c) October 27, 2019
出席扱いの基準を緩くしただけで、従来の通知と大差ないように見えます。受験のために欠席日数が気になる中学生には意味があるかもしれないけど、小学生にはあまり関係ないです。不登校が年々、万単位で増え続ける中で、文科省も多様な学習の場を認めるなら、ある程度、義務教育の予算を投入してほしい
— 船山徹 (@torufunayama) October 26, 2019
まとめ
今回の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」は3年前の通知と比較して、学校外の多様な学び場(フリースクールやICTを活用した学習など)での出席扱いを増やすとともに、学校との連携を強化していくという姿勢が見られました。
しかしながら、出席扱いの基準を緩くしただけで具体的な支援というものは見えてこないという意見もありました。
また、多忙な教職員がこの通知に書かれているような支援を本当に実施できるのかという懸念もあります。
しかしながら、今回の新通知をきっかけに不登校理解が深まると共に、各自治体および教育委員会が具体的な不登校支援の実施を前進させていってくれればと思います。
そのためにもまずは、この新通知および教育機会確保法を周知させていくことが必要ですね。