途上国での環境教育・健康教育の作り方~逆向き設計UbDを用いて~

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サバイディーສະບາຍດີ

どうもラオスのジーコ(@laolaos_koji)です。

これまでぼくは協力隊として環境教育と健康教育の双方の側面を持つ『エコヘルス教育』という教科の普及をラオスで行ってきたのですが、今回はぼくが途上国で環境教育や健康教育の授業を作るときに意識していることについて書いていきたいと思います。

※ちなみにぼくは保健体育(学校保健専門の研究室)で教育学修士を取っています。

今回書く内容は環境教育や健康教育だけでなく、他の活動にも応用できると思うので是非参考にしてみて下さい。

良い環境教育・保健教育とは何か?

最初に環境教育と健康教育の共通点はなんでしょうか?

また、他の国語や数学、理科となどの教科との違いは何でしょう?

そうですね。この2つは人間の生活習慣・行動に関わることですね。

つまり、環境教育や健康教育を実施するに当たって知識を与えるだけでなく、行動変容(または良い行動の継続)がある指導を行う必要があります。

もう少し掘り下げていくと環境教育や保健教育において『知識』と『行動』には以下のような4つ状態があります。

1の状態は、全く知識も行動もないゼロの状態です。

例えば、ゴミをポイ捨てすることの悪影響も知らないし、ゴミをポイ捨てしている状態です。

2の状態は、どうしてその行動をしなければいけないかの知識はないけれど、これまでの習慣で行動を行っている状態です。

一見この状態は良いように見えますが、何故やらなけばならないかという理解がなければ間違ったやり方をやってしまったり、その時だけの行動になってしまいがちです。

例えば、ご飯の前に手洗いはしているけれどただ濡らすだけで、何故手を洗うのかの理解がないという状態です。

3の状態は、知っているけどやっていない(悪いと分かっているけど止められない)状態です。

例えば、タバコの害は知っているけれど、タバコを吸っているという状態ですね。

4の状態は、何故それをやらなければいけないのか理解をしてやっている状態です。

もちろん、指導していくにあたって目指すべきはここですね!!

しかし、環境教育・健康教育で見られる失敗の多くは(つまり知識を与える)だけの指導をしてしまっていることです。

これでは指導者が教えた気になっただけで行動変容は見られません。

知識を与えることは行動変容を促すための最初のステップに過ぎません。

そんなわけで、まず環境教育・健康教育を指導するときは4.知識があって行動もある』状態を目指しましょう!

現地の状況を把握し、適切なテーマ設定を行う。

多くの協力隊員が失敗してしまうのがテーマ設定です。

例えば、『水の出ないところで手洗い指導をする』というものはまさにテーマ設定のミスだと言えると思います。

実はこれについてはぼくが協力隊の試験を受けた時に面接官から質問されたことでもあります。

面接官に「どんな学校保健活動をやりたいですか?」と聞かれ、

ぼくが「手洗い指導をやりたいです。」と答えると、

さらに「水が出なかったどうする?」と聞かれました。

それくらいよくある事例なのだと思います。

ハッキリと言って水のないところでの手洗い指導は現地の人の目線に立てていないと思います。

継続性もないですし、他にもっとやるべき健康教育のテーマがあるはずです。

ということで、テーマ設定で間違えてしまうとせっかくの努力が水の泡となってしまうので、テーマ設定はめちゃくちゃ大切です!!

そのために現地の状況の把握と対象者の興味関心、困っていることをよく事前に調べておく必要があります。

自分ができることよりもその現地の人にとって有益なことは何か?をフラットな状態で考えテーマ設定をしましょう。

逆向き設計(UbD)を用いて考える。

『UbD』とは「UNDERSTANDING by DESIGN」の略でG.ウィギンズとJ.マクタイが提唱しているカリキュラム設計論です。

本来はカリキュラムや1単元の設計を考えるものですが、考え方として色々な場面で応用でき毎回の環境教育・健康教育にも用いることができます。

UbDは、

「①求められている結果(目標)」

「②承認できる証拠(評価方法)」

「③学習経験と指導(指導の進め方)」

この3つを①、②、③の順番で考えつつ、三位一体のものとして計画することが提唱されています。

通常は指導を行った後で考えられがちな②評価方法を指導の前に考えておく点といった最終的な結果から遡って教育を設計する点から「逆向き設計」と呼ばれています。

つまり、①目標(対象者が指導を受けてどんな状態になってほしいか)を最初に考え、その目標を達成したとわかる②評価方法(○○をすることで①の状態になっているかがわかる)を考え、③指導の進め方(その評価をクリアするためににはどんなことを教えるかなど)を考えていく必要があります。

この3つの辻褄があうように指導を考えていきます。

環境教育・健康教育の授業作りの間違えでよくあるのが、活動(教材)ありきの授業を作ってしまうことです。

例えば、ゴミについての教材は沢山ありますが、目標がゴミの分別をできるようになることのはずが、教材を『ゴミを川に流したらどうなるかわかる』という教材を選んでしまっていることがあります。これでは目標と授業内容がずれてしまい何をしたい授業なのか分からなくなってしまいます。

先に評価方法を決めておくことでそれに合わせた授業作り・教材選びをすることができるようになると思います。

まとめ

以上をまとめると

『知識だけでなく行動変容を考慮する』ことを基本に

「⓪対象者に合ったテーマ設定」

「①求められている結果(目標)」

「②承認できる証拠(評価方法)」

「③学習経験と指導(指導の進め方)」

の順番で考えていくと効果的な環境教育・健康教育の授業・活動を作ることができます。

この考え方は環境教育・健康教育の以外でも様々な活動で応用できると思うので是非他の場面でもこの考え方を使ってみて下さい。